[ガーナ再訪記45]Africa-Japan.com(3) ~SEOが流れを変えた

1.     事業立ち上げ

大阪大学の大学院に籍を残したまま休学という形で協力隊に参加していたので、帰国後も大阪に住むことにした。

帰国後直ぐに大阪日本橋のジャンク屋で買いそろえた部品でPCを組上げ、ネット環境を整える。固定IPアドレスによるサーバー運用は現実的でないので、レンタルサーバーを借り独自ドメインを取得してホームページを開設して事業をスタートさせた。

当然、最初から顧客など付くはずはない。全く発注のない時期が数ヶ月続いた

2.     勉強期間

全く受注のない期間、焦りは全くと言ってよいほど無かった。

事業モデルについて根拠のない自信があった。時間が全てを解決してくれる、それまでは勉強期間だ、という思いで兎に角勉強した。

まずは書籍や文献を読み漁る。図書館や本屋でコミュニケーション、モチベーション、プログラミング、心理学、貿易、金融、言語学、あらゆる本を手にする。今までの学校の「お勉強」はテストに合格するため、良い論文を書くため、という目的があった。一方で、この時期の勉強は「どうすれば英文添削ビジネスを軌道に乗せられるか」というクリアで具体的な目標があった。知識の吸収の性質が全く異なっていた。暇さえあれば、書籍を手に取り、あらゆる場所に付箋をつけていた。

この時に得た大量の知識が理由かもしれないが、その後仕事やプライベートで出会う大人を二種類のタイプに分類するようになった。「ビジネス書タイプ」「非ビジネス書タイプ」かの二種類だ。「ビジネス書タイプ」は思ったとおりの反応をする。仕事を進める上ではくみしやすい一方で過去の事例や人間関係等の「型」に固執するために発展が望めない。環境の変化が激しい現代においては過去の知識や経験を全て否定する位の非ビジネス書タイプの人間がこれからの世の中は生き残っていくような気がする。

書籍でのバーチャルな知識と同時に、セミナーや交流会にも積極的に参加した。1999年は世間で言うドットコムバブル(インターネットバブル)、80年代のバブル崩壊から徐々に復活してきた投資家たちが次の投資先を探すべく数多くの機会(飲み会やセミナー)をベンチャー企業に提供していた時期である。

当時の私が掲載されている記事

「インターネット王国、どこへ行く!!第3回 It’s Bit River ~日本初、五大検索エンジン集結!」、ASCII.jpより

この手のリアルな情報交換会は、書籍では決して得られない貴重な情報が得られる。そして事業を大きく飛躍させる以下の情報を得るのである。

3.     1999年のSEO(Search Engine Optimization)

例えば、GoogleやYahoo!で「英語学習」を検索すれば、その上位の検索結果の全てはスポンサーによるPRだ。GoogleやYahoo!の収益源は正にこの検索結果の販売にある。

1999年でも同様のことが言えた。当時の検索サイト大手のYahoo!はいわゆるディレクトリ型検索が主流であり、如何にディレクトリの上位にサイトを掲載してもらうか、或いは「オススメ」のアイコンをつけてもらうか、が全てであった。これらの作業のほとんどが人力で行われていたため、「Yahoo!やExciteの担当者と如何にして知り合いになるか」が交流会でのホットトピックであった。

人力ではないロボット型検索エンジンであるGoogleは米国で未だ立ち上がったばかりで日本でその存在は殆ど認識されていなかったが、日本にはNTTが提供するGooというロボット検索エンジンがあり、それなりのシェアがあった。

ある交流会で、同じくベンチャーを立ち上げた京大の学生が「必殺技を教えてやる」と耳打ちしてくれた。

「GooやInforseekみたいなロボット検索にひっかけるために、背景色と同じ色の文字で検索キーワードをサイトの一番下に100個書け」

というものだ。もちろんHTMLのメタ領域にはロボット検索にひっかけたいキーワードを列挙する属性は存在していた。しかし、それを無視してサイトに直接書くという方法は単純であったが思いつかなかった。

今で言うとSEO(Search Engine Optimization)という技法だ。全くコストをかけずにアクセス数を増加させることができる(注1)

このアドバイスで完全に流れが変わった。

「英語」「英検」「TOEIC」「TOEFL」といった用語を小さな文字の背景色(白)でホームページに掲載した。もちろん一見したところではそれらの文字は全く見えない。サイトへの訪問者の数は激増し、発注も受けるようになった。

英文添削サービスは熱狂と興奮への入り口に差し掛かっていた。

(注1)現在の検索エンジンのアルゴルは、この「隠しテキスト」のようなテクニックは無視されるかペナルティが課されると思われます。

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